アロンズロッドの名前の由来

スマホゲーム、モンスターストライクに出てくるキャラクター、アロンズロッドについて、その元ネタについて解説します。人によって「アロンズ」と略して呼んでいますが、英語表記だとAaron’s rodであり、日本語に直すと「アロンの杖」の意味です。
旧約聖書の冒頭の五巻を書き、ユダヤ教の開祖ともいわれ、映画十戒でも描かれているように、紅海を割って、イスラエルの民を導き、エジプトから救い出したとされるモーセ。そのモーセが神様の力を借りてエジプトに10の災いを及ぼしたり、紅海を2つに割った時にかざしたとされる杖がアロンの杖です。
なぜ、モーセの杖でなくて、アロンの杖なのか?
しかし、そうであれば、アロンの杖ではなくて、モーセの杖と呼ばれるはずです。どうして、アロンの杖なのでしょうか?アロンというのはモーセの実兄です。神様からイスラエルの導き手になるように天啓を受けた時、引っ込み思案のモーセはそのオファーを極力、断ろうとします。
その様子が旧約聖書出エジプト記3~4章に記されています。神様が何とかモーセをイスラエルの導き手にしようとし、モーセは何とかしてそのオファーを断ろうとするやり取りが永遠と書かれています。日本語にして約2500文字!
そのやりとりの中で、神様はモーセに杖を渡して、イスラエルの民がもし、モーセの言うことを信じなければ、この杖は見せなさい。杖が蛇に変身したり、目の前で奇跡が起きるからそれをみれば不信心なものでも信じるはずだといって神様はモーセを説得しようとします。他にもエジプトが怖いとかいろいろ言い訳をして挙句、仮に自分がエジプトに赴いてそこで奴隷となっているイスラエル人を解放しにいっても、自分は吃音だから人前でうまく話せないということまで言い訳にします。さんざん環境が整わないから引き受けられないといっておきながら、環境を神様が整えてお膳立てしてあげるからといってもらったら、今度は自分の能力不足を言い訳にしてちゃぶ台返しをしたため、この時ばかりは神様も逆ギレして、
「てめぇら人間に口を付けたのは神だ。目を付けたのも俺だ、耳を付けたのも俺だ。またそれらを取り去る事だって俺はできる、お前がどの程度のスペックの人間かも重々承知の上でお前にオファー出しているのにそれでもお前は俺の誘いを断るのか?話さなきゃいけない時になったら、カンペを出すみたいに逐一、言うべき台詞を教えてやるから心配するな!」
「どうかわたしでなく他の人にご用命ください」
「てめえがどうしてもしゃべれない時は兄貴のアロンにでもしゃべらせたらいいだろう。お前と違ってべしゃりが上手いのも俺は知ってる。お前が知らないかもしれないが、もうすでに兄のアロンも40年以上あっていない弟のお前を探し求めて既に旅にでている。会ったらめっちゃ喜ぶぞ。人前でうまくしゃべる自信がないなら、兄にいうべき台詞を伝えて代わりに話してもらえ」
こういった経緯があって、イスラエルの指導者がモーセであるのに兄のアロンが広報担当になったのでこの杖が「アロンの杖」と呼ばれる所以となったのです。
ストライクショットの技名について
また獣神化したときの技名(ストライショットの名前)「モーセズ・テンコマンドメンツ」はそのまんんま「モーセの十戒」の英訳であり、獣神化したときの二つ名にも「高貴なる十戒の聖杖」とあります。ちなみに「十戒」の読みはジュッカイではなくジッカイと発音します。みたことがないかもしれないので、その10の戒めをここに列記しておきます。
1、主(聖書に出てくる神ヤハウエ)が唯一の神であること
(ほかに神があってはならない)
2、偶像を作ってはならないこと(偶像崇拝の禁止)
3、神の名をみだりに唱えてはならないこと
4、安息日を守ること
5、父母を敬うこと
6、殺人をしてはいけないこと(汝、殺す勿れ)
7、姦淫をしてはいけないこと
8、盗んではいけないこと(汝、盗む勿れ)
9、隣人について偽証してはいけないこと
10、隣人の財産をむさぼってはいけないこと
ストライクショット時のセリフは炎上もの?!
問題は獣神化前のストライクショット「奇蹟を示す杖」は発動する時のセリフです。これ、キリスト教圏、ユダヤ教圏だったら、確実に当該団体からクレームがきて炎上することでしょう。もっとも、欧米やイスラエルでは信教の自由も、また思想信条の自由も認められていますから少々宗教を揶揄するようなことを言っても、発禁処分や回収騒ぎにまではならないでしょうが…。では、どんな台詞をアロンズロッドは発しているのでしょうか?
見よ、我こそは神の力を体現する者。いや、むしろ私こそは神!
これ、完全にアウトは発言です。なぜなら、先ほど示した、十戒に書いてある戒めのとおり、目に見えない本当の神様を目に見える木像、石像などで矮小化するな、また、本物の神様以外にニセモノの神様を作るなといっているのに、このアロンズロットときたら、私が神だなどといって、のっけから十戒の内容を破ってしまっているのですから噴飯モノだったりします。
しかし、もしかしたら、アロンズロッドのセリフは、聖書にしるされているアロン自身の失敗談をモチーフにしているのかもしれません。エジプトからイスラエルに向かって民を導く旅の途中、モーセは神様から啓示をうけて山に登り、この十戒をはじめとする神様からの戒めを受け取ろうとしたときのことです。
標高2200メートルもある山に登って降りてくるだけで数日かかります。その山に従者を一人だけつれて、80才の老人であるモーセがのぼって、数日たっても帰ってこないのに、民は指導者を失ったといって不安にかられました。イスラエルの民からすればモーセの広報担当はアロンですから、アロンに殺到します。アロン自身も心細かったのでしょう。鋳物職人でもあったアロンは民から金の腕輪や指輪装飾品を拠出させ、それで、金の子牛の鋳物をつくり、「これがあなた方を救い出した神様だ」といって、偶像を作ってしまいました。あれほど、人間を作った目に見えない本物の神様を、人間が目に見える形で偽物の神様を作ってはならないといわれたのに、神様のフィギアをモーセの兄アロン自身が作ってしまったことがあったのです。(出エジプト記32章)

ウィキペディアより
下山してきたモーセからその後、アロンは大目玉をくらい、モーセはその時十戒の書かれた石板をたたき割ったといわれています。(十戒の書かれた石板はその後神様に「再発行」してもらいます)
もしかしたら、イスラエル民族の指導者になる事を断りまくった引っ込み思案なモーセに対して雄弁な兄のアロンは少しお調子者なところがあったのかもしれません。であれば、アロンズロッドのストライクショットのセリフはむしろ、元ネタである聖書に忠実なのかもしれませんね。
アロンズロッドのその後
アロンの杖はその後、どうなったのでしょうか?
聖書によれば 神様が荒野でイスラエルの民を養った伝説の食べ物「マナ」を入れた壺(出エジプト16:33)と先ほどから出てきているモーセの十戒が記された石板(申命記10:2)とともに、アロンの杖(民数記17:10)も契約の箱と呼ばれる箱にひとまとまりにされ、イスラエルの都エルサレムの神殿に安置されます。日本でいうところの三種の神器みたいなものでしょうか。そして、BC586年に南ユダ王国が新バビロニア帝国に捕囚され滅ぼされるまではわかっているのですが、その後行方知れずです。
その箱をナチス・ドイツが見つけ、ナチスよりもその契約の箱を回収しようと大冒険をするというフィクションがあの有名な『インディー・ジョーンズ失われたアーク』というわけですね。
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