鬼滅の刃がイスラム圏で大バッシング?!

飛ぶ鳥落とす勢いで、今年10月にも映画無限列車篇が公開予定の大人気アニメ、鬼滅の刃ですが、去年末にはイスラムに対するヘイトだ。知らずにやったなんて信じられない。大好きなアニメだったのに残念などとイスラム圏でダイバッシングをうけ、制作会社が謝罪するという騒動があったことを皆さんはご存じでしょうか?なんで、そんなことになったのか、また国際化が進む今後、海外からのバッシングを未然に防ぐには…そんなことについてキリスト教的にどうなのか解説してみました。
今も残る公式ホームページでの謝罪文
2019年11月に公式HPに記載されている謝罪文は以下の通りです。
2019年11月22日
株式会社アニプレックス
この度、弊社が発売いたしましたテレビアニメーション『鬼滅の刃』Blu-ray&DVD第4巻(2019年10月30日発売)に同梱されている特典CD(劇伴音楽集2)の収録音源(Track51)において、イスラム教に関わる音声の不適切な使用があったことが判明いたしました。当該箇所は市販の音声素材を使用して制作したもので、イスラム教ならびにイスラム教徒の皆様の心を傷つける、または冒涜するという意図は決してございませんでしたが、当該音声の意味や内容を十分理解しないまま収録し、発売したことにより、イスラム教徒の皆様に、ご不快の念を抱かせてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。尚、当該箇所は特典CDのみに収録したもので、アニメ本編へは使用しておりません。
今回の件を真摯に受け止め、当該商品の出荷停止、店頭からの速やかな回収を行います。お買い上げいただいた商品の特典CDにつきましては、交換対応を実施いたします。
商品をご購入いただいたお客様、ならびに『鬼滅の刃』のファンの皆様にご迷惑をおかけすることになり、誠に申し訳ございません。
今後、弊社では同様の事態を二度と起こさないように、イスラム教とその文化についての理解をより一層深め、音源の制作に一層の注意を払ってまいる所存です。
何がムスリムの逆鱗に触れたのか?
「イスラム教に関わる音源」っていったい何なのでしょう。キリスト教の音楽で讃美歌やゴスペルのように、イスラム教の音楽があって、そのイスラム音楽を鬼滅の刃のDVDに混ぜてそれが批判されているのでしょうか?
実は、音楽ではなくて、鬼滅の刃の特典DVDに使ってしまった音源というのは「アザーン」なのです。このアザーンは音楽ではなくて、「イスラム教の礼拝がもうすぐ始まるよ~」という呼びかけの言葉です。キリスト教的にいえば、礼拝前になる教会の鐘とでもいえばよいでしょうか…。日本の教会ではキリスト教徒が少ないし、近所からクレームが来るのを恐れてか結婚式場以外では鐘がなっているのはあまり聞いたことがありません。しかし、キリスト教圏ではだいたい日曜日の10時半ごろに教会で鐘がなりみんなが集まってくる…あれに似ています。宗教に熱心であるということもあるでしょうがそれが文化であり、習慣と混然一体となっているといえるでしょう。
日本人にとったらなんでしょう。きっと、朝にラジオ体操の音楽を聴いたら、会社の始業を思い出す。学校の体育の授業を思い出す…。あの軽やかな曲を聴くと体が勝手に動き出す・・・。それと似ているかもしれません。あるいは大晦日になったら除夜の鐘の音を聞いて、何千万人もの人が近所の神社に初もうでに繰り出す…。そんな感じでしょうか
日本人にとってはそんな感じではあるものそれ以上のモノなのです。なぜならイスラム圏(スンナ派)の礼拝は1日5回。ということはイスラム圏に住む人は、1日5回は人は人たちはこのアザーンを毎日5回聞いているのですから、鬼滅の刃のDVDの中でどんなに編曲してもムスリムの人はすぐにあ、アザーンを混ぜているってすぐに気づくでしょう。
そもそも、礼拝に音楽NG
アザーンは「イスラム教に関連する音源」であって、もし謝罪文に「イスラム教の音楽」と書いていたらまたまた、炎上していたかもしれません。そもそもイスラム教の礼拝の中で楽器を使うことなどないからです。(※イスラム教の全ての教派を調べたわけではありません。もしかしたら楽器を使う少数教派が存在するかもしれません)。
今回の騒動、無宗教の日本らしい騒動で、実はキリスト教国であっても、今回ほどのミスはムスリムに対して行うことはまずありません。
なぜなら、冒頭、キリスト教の音楽、讃美歌やゴスペルと言及しましたが、キリスト教でさえ、礼拝中に歌うことはあっても楽器を使うことは13世紀まで許されていませんでしたし、今もキリスト教の半分(東方教会)は楽器を礼拝行為で使うことは禁止されています。
楽器なしの声楽による音楽のことをアカペラっていうでしょう。あれ、ラテン語で「教会式」という意味なのです。ですから、礼拝中に楽器すら使わない神聖なアザーンをアニメのBGMバックグラウンドミュージックに使ったわけですから、ムスリムの怒りがいかほどか…だまし討ちで豚肉を食べさせられたくらい不愉快な事であったろうと、ムスリムではないですから共感することはできないまでも心中をと察することはできます。
なんでそんなに音楽を嫌うのか?

で、上記のようなことをいうときっと、多くの日本人は、「なんで、楽器を使うことがダメなのか…また音楽そのものを嫌ったりするのか?私たちの生活で楽器は落ち込んだ気分を上向かせたり、ストレスを発散させたり素晴らしい効果があるのに・・・。」と硬いこと言うなよってノリで反発する人もいおられることでしょう。それは、キリスト教はイスラム教、さらにはそれらの元になったユダヤ教ができたころを考えてみるとよいでしょう。ほんの百数十年前までは、iPodもMDもCDも、ウォークマンもカセットテープもレコードも、蓄音機さえも存在しませんでした。声楽以外に楽器を使った音楽を聴くことは生演奏だけだったわけです。また人類の歴史のほとんどは食べるのに困った時代です。衣食住を満たすだけで必死ですから、楽器というのは生活必需品ではないのでぜいたく品、貴重品で本当に特殊な時に使われていました。
13世紀になって教皇権がもっとも強大になり、また客観的に見て教会がその権威にかまけて腐敗した時代に教会の礼拝に楽器が入ってきたといわれます。もっとも、楽器が良い方向に働いたおかげて私たちは素晴らしいゴスペルや讃美歌をいっぱい聞くことができているのも確かですが、ギリシャ正教やロシア正教などの東方正教会では未だにアカペラ以外は認められていない現実があります。
古代の楽器の使いどころ
軍楽隊
では、古代、楽器ってどんな時に使われたのでしょうか?例えば軍楽隊です。戦争の時にドラを鳴らして士気を高める、一種のトランス状態にさせる役目がありました。生きるか死ぬかの大一番の時にテンションを挙げさせるために楽器が用いられたのでした。
異教の宗教儀式

あと、異教の宗教儀式のときです。皆さんはテレビ番組等で未開の部族の一員の病気をなおすためにその部族の呪術師(シャーマン)が香を焚き、踊り狂い、楽器を打ち鳴らして森の精霊に祈って病気の快癒を祈願したりしているシーンを見たことがありませんか?そう古代においてはは音楽自体が宗教行為なんです。あ、まさにこの鬼滅の刃に出てくる「ヒノカミカグラ」の神楽も神道の音楽と舞踊を神に奉納するという神道の宗教行事な訳ですから、もう少し注意して扱う必要があったかもしれませんね。
アブノーマルな世界
また、現代と違って音楽がある場所=アブノーマルな場所であったこともありました。キリスト教やイスラム教が成立、発展した時期に一部の人たちが音楽を忌避したのは。音楽のある場所=現代のレイブ会場のような怪しい場所という認識があった時代もあったのでしょう。
日本でも有名な芸能人が違法薬物で捕まって、その薬物の入手先がレイブ会場だったのではという話がありましたよね。
※レイヴ(英語: Rave)とは、ダンス音楽を一晩中流す大規模な音楽イベントやパーティーの事。毎週決まった場所で行われるクラブイベント等とは異なり、屋外や特別な会場で行われる、一回限り(もしくは年一回など)のイベントであり、また規模も通常のクラブより大きいことがほとんどである。「レイヴ」という単語は「Revolution Live」からの造語。ロンドンのジャマイカ系移民の俗語で「自分に嘘をついて無理矢理盛り上がる会合を意味している。以上ウィキペディアより引用
終わりに
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